あるときのお遍路の途上で前を行く30代ぐらいの女性に追いついたときのことです。自らの苦悩を何とかしたいという思いから歩き遍路をしているように見えました。
「(遍路してみたものの)なんにもないし…」という言葉を漏らしていました。
何と返すべきだったかと後になってから、“お遍路は自分に向き合うためにするものだと私は思っています”と言えばよかったと思いました。
日常生活では、自分に向き合うことを遠ざける物事ばかりです。答えはすべて自分の内にあります。答えを外に求めがちな人にこそ求められる修行環境が、心を深く落ち着かせられる「何も無いところ」です…
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