大祓詞の前半部の最後に「天つ祝詞の太祝詞事を宣れ」とありますが、この「天つ祝詞の太祝詞事」が具体的に何を指すかについては諸説あります。いくつかをご紹介します。
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「大祓詞そのもの」説
「天つ祝詞の太祝詞事」の「天つ祝詞」とは《神性な祝詞全般》を指し、「太祝詞」とは《大いなる祝詞》を意味すると解釈するものです。つまり、「天つ祝詞の太祝詞事」とは祝詞の代表格である《大祓詞そのもの》という説です。
「天津祝詞」説
「天つ祝詞の太祝詞事」については《天津祝詞》という祝詞があるので、まさにこのことだという説です。この祝詞は《禊祓詞》とも呼ばれています。なお、この祝詞は後世に作られたものであるから、これではないともいわれています。
【天津祝詞(禊祓詞)】
たかまのはらにかむづまります かむろぎかむろみのみこともちて すめみおやかむいざなぎのみこと つくしのひむかのたちばなのをどのあはぎはらに みそぎはらひたまふときにあれませる はらひどのおほかみたち もろもろのまがごとつみけがれをはらひたまへきよめたまへとまをすことのよしを あまつかみ くにつかみ やほよろずのかみたちともに あめのふちこまのみみふりたててきこしめせと かしこみかしこみまをす高天原に神留り坐す 神漏岐神漏美の命以ちて 皇御祖神伊邪那岐命 筑紫の日向の橘の小門の阿波岐原に 御禊祓ひ給ふ時に生坐る祓戸の大神等 諸々の禍事罪穢を祓ひ給へ清め給へと申す事の由を 天つ神 国つ神 八百萬神等共に 天の斑駒の耳振立て聞食せと 恐み恐み白す
「あまてらすおほみかみ」説
「天つ祝詞の太祝詞事」の「天つ祝詞」とは神聖な祝詞全般を指すもので、注目すべきは「太(ふと)」であるというものです。「ふと」は「ふ=2」と「と=10」で20字を示します。
つまり20字の祝詞を指すもので、具体的には「天照大神(天照大御神)」と漢字表記されるところの《あまてらすおほみかみ》を2回1セットで唱えるという説です。